新米価格が下落。来年も米づくりを続けるために、今見直したい農業経営の3つのポイント

農業と農機

2026年産米の価格が、前年に比べて大きく下落しています。

農林水産省が2026年10月16日に公表した資料によると、2026年産米の9月の相対取引価格は、全銘柄平均で玄米60kg当たり21,293円。前年同月の36,895円から42%下落しました。

米価が下がれば、米づくりを続ける農家にとって、今後の経営をどう考えるかが重要になります。
ただし、価格の動きだけを見て、すぐに生産規模を縮小したり、農機の購入を控えたりすることが最善とは限りません。

大切なのは、自分の農業経営にとって何が負担になっているのかを把握し、来シーズンに向けて具体的な対策を考えることです。

この記事では、米価下落を踏まえ、農家が今見直したい3つのポイントを紹介します。

1. 米価下落の影響は、売上だけでなく利益で考える

米価が下がると、同じ量の米を販売しても、得られる売上は少なくなります。

例えば、玄米60kg当たりの販売価格が36,000円から21,000円になったと仮定すると、販売量が同じでも、1単位当たりの売上は15,000円減少します。

※上記は影響を説明するための単純な試算であり、実際の農家の販売価格や手取り額を示すものではありません。

ここで考えたいのが、売上と利益の違いです。

農業経営では、売上から肥料代、農薬代、燃料代、農機の修理費、人件費などを差し引いて、どれだけ利益が残るかを把握する必要があります。

米価が下がったとき、売上の減少分をそのまま利益の減少と考えるのではなく、経費も含めて収支を確認することが重要です。

まずは、次の項目を整理してみましょう。

整理しておきたい項目
  • 作付面積と収穫量
  • 販売先ごとの販売価格
  • 肥料・農薬・種苗などの費用
  • 燃料代や農機の修理・整備費
  • 人件費や作業委託費
  • 農機や設備の購入費

これらを把握すると、どの費用が経営を圧迫しているのか、どこに改善の余地があるのかが見えやすくなります。

2. 生産コストを見直す。ただし、安さだけで判断しない

利益を確保するために、まず取り組みやすいのが生産コストの見直しです。

ただし、単純にすべての費用を削ればよいわけではありません。
必要な資材や整備まで削ってしまうと、収量の低下や農機の故障につながり、結果的に大きな出費が発生する可能性があります。

見直したいのは、必要な支出と、改善できる支出を分けて考えることです。

肥料・農薬などの資材費

資材を購入する際は、価格だけでなく、使用量や効果、購入単位なども比較しましょう。

まとめ買いが有利な場合もありますが、保管場所や使用期限、翌年の使用見込みも考慮する必要があります。

また、施肥や防除の方法を見直す場合は、作物の生育や病害虫への影響も踏まえ、適切な使用方法を確認することが大切です。

燃料費と作業時間

農作業にかかる時間や燃料の使用量を把握することも、経費の見直しにつながります。

例えば、圃場ごとの作業順序を整理する、移動距離を減らす、作業計画をまとめるといった工夫が考えられます。

ただし、作業の効率化は、圃場の条件や使用する機械によっても変わります。自分の経営に合った方法を検討しましょう。

3. 農機の維持費と設備投資を見直す

農機は農業経営を支える重要な設備である一方、購入費や修理費、燃料費など、維持するためのコストもかかります。

米価が下がったときこそ、現在使用している農機にどれくらい費用がかかっているのかを確認しておきたいところです。

今の農機を使い続けるか、買い替えるか

農機の買い替えを検討するとき、購入価格だけで判断するのはおすすめできません。

比較したいのは、次のような項目です。

比較・確認したい項目
  • 現在の農機にかかっている年間の修理・整備費
  • 今後交換が必要になりそうな部品
  • 買い替えた場合の購入費や維持費
  • 作業時間や燃料消費量の変化
  • 故障によって作業が遅れるリスク
  • 今後の作付面積や作業量の見込み

例えば、修理費がかかっていても、使用頻度が低く、修理後も十分に使える機械であれば、継続使用が合理的な場合があります。

一方、故障が頻発している機械や、繁忙期に停止すると大きな損失につながる機械は、買い替えを含めて検討する価値があります。

重要なのは、古いから買い替える、あるいは費用を抑えたいから使い続ける、といった一律の判断をしないことです。
修理と買い替えの両方について費用を見積もり、今後の経営計画と照らし合わせて判断しましょう。

中古農機も選択肢の一つ

新しい農機の購入費を抑えたい場合、中古農機を検討する方法もあります。

ただし、中古農機は価格だけでなく、機械の状態、使用時間、整備履歴、消耗部品の状態、購入後のサポートなどを確認することが大切です。

購入費が安くても、すぐに修理が必要になれば、想定以上の費用がかかることもあります。

使用目的や必要な性能を明確にし、購入費と維持費を合わせて比較することが、納得できる選択につながります。

4. 来シーズンに向けて、今からできること

米価の変動は、農家が個別にコントロールできるものではありません。

だからこそ、自分で把握・改善できる部分を整理しておくことが重要です。

来シーズンに向けて、次の3つから始めてみましょう。

① 今シーズンの収支を整理する
売上と経費を振り返り、作付面積や収量だけでなく、どの費用が利益を圧迫していたのかを確認します。

② 農機の状態と今後の費用を確認する
収穫後の点検・整備を行い、修理が必要な箇所や交換部品を把握します。来シーズンに突然の出費が発生しないよう、早めに見積もりを取っておくと安心です。

③ 来シーズンの投資計画を立てる
農機の買い替えや設備投資を予定している場合は、必要性や導入時期、費用の回収見込みを整理します。今すぐ購入するのか、修理して使い続けるのか、複数の選択肢を比較しましょう。

まとめ|価格の変動に備え、経営の中身を把握する

2026年産米の相対取引価格は、前年同月から大きく下落しました。ただし、この価格は集荷業者や卸売業者などの間で取引される価格であり、個々の農家の販売価格や手取り額と同じではありません。

自分の経営への影響を把握するには、実際の販売条件や生産コストを踏まえて考える必要があります。

米価の動きを注視しながら、収支の把握、生産コストの見直し、農機の維持費や設備投資の検討を進めることが、今後の経営判断に役立ちます。

まずは今シーズンの数字を整理し、来シーズンに向けてできることから始めてみてはいかがでしょうか。


参考資料

※記事内の価格は農林水産省の公表資料に基づきます。公開時には最新の公表値をご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました