
【新規就農者必見】「珍しさ」と「高所得率」で農業を成功させる方法とは?
「農業で生計を立てたいけれど、何から始めたらいいかわからない」——そんな不安を抱える新規就農者に向けて、唐沢農機サービスが実際にお客様から伺った声をもとに、「珍しい農作物」と「高所得率が見込める作物」に注目してみました。
「珍しい農作物」はなぜ儲かる?
まず注目したいのが、あまり市場に出回っていない「珍しい農作物」です。これらの作物は希少性を強みにでき、競合が少ないため価格競争に巻き込まれにくいというメリットがあります。消費者の好奇心や健康志向に訴えることができれば、高単価で販売することも可能です。ブランドを確立し、直売やネット販売でリピーターを獲得できれば、安定した収益も見込めそうです。
プチヴェール
ケールと芽キャベツを掛け合わせた新しい野菜で、かわいらしい見た目と栄養価の高さから人気を集めています。流通量が少ないために希少価値があり、美容や健康への関心が高い層にとっては魅力的な商品です。寒さに強く、冬の収穫にも適しており、家庭菜園レベルでも取り組みやすいのが特徴です。

アーティチョーク
地中海原産の春野菜で、レストランや高級食材店などで高い需要があります。食べる部分は花のつぼみで、独特の風味とホクホクとした食感が特徴です。多年草であり、一度植えると数年間収穫が可能であるため、安定した生産が見込めます。土地の有効活用として、株間で他の作物を育てることもできる点も魅力です。

フィンガーライム
「森のキャビア」とも呼ばれ、果肉が粒状になっており、口の中でプチプチとはじける食感が楽しめる珍しい柑橘類です。日本ではまだ流通量が少なく、特にレストランやバーなどで高級食材としての需要が高まっています。国産の高品質なフィンガーライムは100gあたり1万円以上で取引されることもあり、新規就農者にとっては大きなビジネスチャンスになるかもしれません。

食用ほおずき(ストロベリートマト)
甘酸っぱい味わいと鮮やかな色が特徴で、デザートやサラダなどの用途が広く、ジャムやジュースへの加工もしやすい作物です。健康志向の高まりとともに注目されており、珍しさを武器に高単価での販売が期待できます。

コールラビ
コールラビは、キャベツの仲間で、ドイツ語で「コール(キャベツ)」と「ラビ(カブ)」を組み合わせた名前です。日本には明治時代初期に伝わりましたが、当時は食べ方がわからなかったため、あまり普及しませんでした。カブに葉が生えたようなユニークな見た目と栄養価の高さで、近年では少しずつ知られるようになってきているものの、日本ではまだ一般的ではないため高値で販売されています。生でも加熱してもおいしく、少量栽培でも利益を出しやすいためブランド化にも向いています。

サボイキャベツ(ちりめんキャベツ)
縮れた葉が特徴の冬野菜で、煮込み料理に最適な品種です。水分が少なく型崩れしにくいため、ロールキャベツなどに適しています。輸入品が多く、国内産の安定供給ができれば、高価格での販売が期待されます。

ゆず
日本固有の柑橘類で、豊かな香りと酸味が特徴。料理やデザートだけでなく、美容や健康食品などさまざまな用途があることから、国内外での需要が高まっています。特に海外では、シェフやパティシエがゆずの風味を好み、料理やスイーツに活用することで、その人気が世界的に広がっています。さらにビタミンやクエン酸が豊富な点も、健康志向の高まりと合致し、高付加価値商品の原料として注目されています。某テレビ番組に出演したゆず農家さんが、「生まれ変わってもゆず農家になりたい」とインタビューに答えていましたが、よほど海外からの引き合いが多いらしく、「ガッチリ」という様子だったのが印象的でした。

高所得率の農作物とは?
次に注目したいのが、「高所得率」が見込める農作物です。農業において「儲かる作物」とは、単に高く売れるものだけでなく、経費を差し引いた後にどれだけ利益が残るか、すなわち「所得率」が重要な指標となります。
ワサビ
日本食に欠かせない香辛料でありながら、清流で育つという特異な環境が必要なため、栽培できる地域が限られています。しかしその分競合が少なく、価格も安定しています。清流を整備するなどの初期投資は必要ですが、その後は肥料や農薬をほとんど使わず、収穫も手作業なので大型農機を必要としないため経費が抑えられます。実際、ワサビ農家の所得率は43.5%と、全国平均(27.1%)を大きく上回る数値を記録しています。ワサビは長野県、静岡県、岩手県で栽培されているので、農地や作物が選択できる新規就農者の方にとって選択しやすいのではないでしょうか。

レンコン
湿地で育つため手間はかかりますが、種苗費や農薬費が少なく、手作業中心で高価な機械も不要です。主に茨や県や大分県で生産されており、供給量が限られていることから、価格も比較的安定しています。ただ、レンコンの収穫は冬の寒い時期なので、冷たい圃場の泥に胸まで浸かる過酷さは計り知れません。

サツマイモ
サツマイモも高い所得率を誇っており、小規模な畑でも効率よく収益を上げることが可能です。栽培も比較的容易で、新規就農者にも取り組みやすい品目です。

パセリ
料理の彩りや薬味として広く使われるハーブで、乾燥パセリなどの加工品に展開しやすいのが魅力です。少量栽培でも利益が出しやすく、有機栽培や飲食店との連携によって高単価を狙えます。

ゴーヤ
独特の苦みと栄養価の高さから、健康志向の高まりとともに需要が増加しています。家庭菜園でもなじみが深く、比較的簡単に栽培できるため、新規就農者にも適した作物です。

シソ(大葉)
香りが豊かで、薬味や装飾として日本料理に欠かせない存在です。一度植えれば長期間収穫でき、年間を通じて需要も安定しているため、安定的な収益が見込めます。
わさびが肥料や農薬を使わないで栽培しているというのは長野県民ながら初めて知りました。清流のみで育ち、大きな農機具を必要としないということで、建物や農機具の固定資産額が全国平均1,000万円に対して、ワサビ農家は760万円、借入金額は全国平均600万円に対してワサビ農家は210万円と、経営の安全性も抜群とのことです。
パセリ、ゴーヤ、シソについては私も家庭菜園で毎年育てていますが、パセリは四方八方、モリモリと葉を茂らせ、ゴーヤは鈴なりに実りほとんどジャングル…、シソは赤ジソも青じそも去年の種が庭のあちこちで芽を出し、元気に自生しています。本業としての農業と家庭菜園を同じ目線で語ってしまっては大変失礼かとは存じますが、育てやすさや設備投資の有無などは、新規就農を検討されている方にとって重要なポイントになるのではないでしょうか。こうして調べてみると農業と言っても本当にたくさんの農作物があり、選択次第で収入にも大きな差が出るのですね。

自分に合った作物を選ぶことが成功の鍵
新規就農者にとって重要なのは、自身の地域や土壌、気候に合った作物を見極めることです。珍しい作物は差別化と高単価が期待でき、高所得率作物は効率的な経営が目指せます。どちらの戦略も、適切な技術と販路を確保することが前提となります。
農業は簡単な道ではありませんが、自分の目指すスタイルに合った作物を選び、計画的に取り組めば、安定した経営も夢ではありません。あなたも「珍しさ」や「高所得率」をキーワードに、夢の農業ライフを実現してみませんか?
※本記事は唐沢農機サービスが、新規就農をお考えのお客様からいただいたご相談をもとに独自調査・編集したものです。
出典: 農業利益創造研究所 新規就農者必見!高所得率の儲かり野菜を探る<2023年版>