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衆院選2026と農業公約を徹底比較:食料安全保障・所得補償・米価安定の行方

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日本の農業は今、歴史的な分岐点に立っています。2026年の衆議院議員総選挙(衆院選2026)において、農業政策は単なる産業振興の枠を超え、国家の「食料安全保障」という最重要課題として浮上しています。

肥料や燃油といった生産資材の高騰、気候変動による米の作柄不安定化、そして深刻な担い手不足。こうした現場の課題に対し、各政党がどのような解決策を提示し、私たちの「農政」をどこへ導こうとしているのか。本記事では、主要政党の公約から、今議論されている「食料品消費税ゼロ」の影響まで、農家の経営に直結する情報を詳しく解説します。

※本記事は 2026年1月時点の情報をもとに執筆しています。


1. 2026年衆院選:農業が「最大の争点」となった背景

今回の衆議院選挙がこれほどまでに農業を重視しているのは、日本の食料自給率が低迷を続け、国際情勢の緊迫化によって「食べるものに困る」というリスクが現実味を帯びてきたからです。

これまでの農政は、効率化や規模拡大を推進することに重きを置いてきました。しかし、2026年の現在、議論の中心にあるのは持続可能性です。大規模法人だけでなく、地域を支える中小規模農家や、新たに米づくりを始める若者、そして農業経営で重要な役割を果たす女性など、多様な担い手をどう支援するかが問われています 。


2. 主要政党の農業公約・政策「一覧」比較

各政党の発表によれば、食料安全保障の「強化」に向けたアプローチは大きく二極化しています。

各党の公約・施策のポイント

政党名重視するキーワード主な施策と特徴
自民党食料安保・スマート農業基幹法の改正に基づく予算「確保」。輸出拡大と、ロボット・AIなどの「スマート」技術の実装支援。
中道改革連合(立憲・公明)構造転換・所得補償2030年までを「農業構造転換集中対策期間」に設定。戸別所得補償制度の法制化を目指す。
国民民主党基礎支払い・手取り向上「食料安保基礎支払い」の「創設」。10aあたり給付を行い、兼業農家や半農半Xも広く対象にする 。
れいわ新選組予算倍増・政府買い取り農林水産予算を4兆円に「倍増」。余った農産物は「政府」が全量買い上げ、価格を維持。
日本維新の会規制改革・企業参入農業法人の所有権緩和。「規制」改革により企業の「新規」参入を促進し、市場の競争力を高める。
日本共産党自給率向上・価格保障自給率50%以上を目標に掲げる。小規模・家族経営を「重視」した価格補償・所得補償の徹底。
参政党自給率100%・自然型食を守ることを安全保障の柱に。化学肥料に頼らない「自然型」農業の増産を提言。

3. 「所得補償」と「直接支払い」:農家の手取りはどう変わる?

農家にとって最も関心が高いのは、日々の経営を支える現金の支払いです。今回の選挙では、各党が独自の給付案を発表しています。

国民民主党の「食料安保基礎支払い」の衝撃

国民民主党が掲げているのは、農地の維持を目的とした直接支払いです 。

  • 給付額: 10aあたり2万円程度の支給を検討。
  • 対象: これまでの認定農業者中心の支援から、地域を守るすべての農業者へと門戸を広げています。
  • 狙い: 資材高騰の影響を受けやすい小規模農家の所得を底上げし、離農を食い止める対策としています。

中道改革連合(立憲・公明)の「構造転換」と所得補償

立憲民主党と公明党による中道改革連合は、旧来の所得補償を再構築し、より環境配慮や機能維持に連動した支払いを提案しています。特に中山間地域などの地域の多面的機能を守るため、農地の整備とセットでの支援を重視しています。


4. 「消費税ゼロ(食料品)」は農家にとって追い風か?

今回の衆院選で、複数の野党が減税や消費税の廃止を訴えています。消費者にとっては家計が安心するニュースですが、農家側には特有の懸念があります。

消費税「減税」がもたらす課題

  1. 還付金の減少リスク: 農家は、肥料や燃料、高額な農機を購入する際に消費税を支払っています。通常、農産物の販売時に受け取った消費税から、仕入れ時に支払った税分を差し引いて還付を受けますが、販売時の税率がゼロになると、この還付がどう実現されるかが不透明です 。
  2. 事務負担の複雑化:
    インボイス制度が浸透する中で、税率が変更されると、日々の帳簿付けや情報の更新作業に膨大な時間がとられます。
  3. 価格転嫁の難しさ: 「消費税ゼロ」という社会的な空気の中で、資材高騰分を販売価格に上乗せすることが難しくなるという声も現場から上がっています 。

政党側は「還付相当額を別途補償する」などの案を提示していますが、その具体的な仕組みづくりが今後の大きな議論の焦点となります。


5. 日本農業新聞が問う「農業農村の未来像」

専門メディアである『日本農業新聞』は、今回の総選挙を「農政の分岐点」と位置づけ、各党に対し「農業農村の未来像を競え」と訴えています 。単なる一時的な補助金ではなく、次世代がビジネスとして農業を選択できる仕組みが求められています。

解決すべき3つの「課題」

  • 担い手の若者シフト: 高齢化が進む中で、いかにして新規就農者を増やし、定着させるか。
  • 女性の参画拡大: 農業の意思決定の場に女性の視点を取り入れ、多角的な経営を促進すること。
  • スマート農業の実装: 自動操舵やドローンなどの技術を活用し、少ない人数でも高い生産性を維持できる環境の整備。

6. スマート農業と基盤「整備」:DX化の加速

日本の農業が生き残るためには、人手不足を補うスマート化が不可欠です。自民党や公明党は、このスマート農業の推進を強く主張しています。

  • 最新技術の導入支援: センサーによる水管理やAIを用いた病害虫予測など、高度な技術を現場へ普及させるための予算確保。
  • 農地の集積と活用: 散らばった農地を整理し、大規模な事業を行いやすくするための基盤整備。

これらの施策は、特に米の生産コストを下げ、国際的な競争力をつけるために重要視されています。


7. 「米」をめぐる攻防:米価安定と輸出戦略

米は日本の食文化の中心であり、農家にとっても主要な収益源です。今回の衆院選では、米価をどう安定させるかも大きなポイントです。

  • セーフティーネットの「強化」: 米価が暴落した際に、経営が転換を余儀なくされないよう、国が下支えする制度の充実。
  • 輸出の「拡大」: 国内需要が減る中で、海外市場をめざす農家を応援し、高付加価値な日本産の米を世界へ届ける戦略。

8. 農家が投票前にチェックすべき「3つの視点」

最後に、農家のみなさまが各党の公約を比較し、自分たちの経営に最適な選択をするためのポイントを整理します。

  1. 所得の直接的な補償があるか:
    市場原理に任せるだけでなく、肥料高騰などの高コストに対応できる所得の補償案があるかを確認しましょう。
  2. 中山間地や小規模経営への「配慮」があるか:
    大規模法人だけでなく、自分の地域の文化や景観を守るための政策が含まれているか。
  3. 税制と補助金の「整合性」:
    減税が行われる場合、資材の還付や事務手続きの軽減策がセットで示されているか。

結びに:中立的な立場で「未来」を選ぶ」

2026年の衆院選。各党の公約には、それぞれ日本の農業を良くするためのアイデアが詰まっています。自民党の強い農業への転換を目指す案や、国民民主党の所得の直接的な安定をめざす姿勢、そしてれいわ新選組の予算の大幅な拡大。

どれが正解かは、それぞれの農家の経営スタイルや、住んでいる地域の状況によって異なります。自身の目で公示された各党の情報を一覧し、最も納得できる政策に1票を投じることが、これからの日本の農政をつくり上げていくことに他なりません。

参考媒体・公式サイト