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【MYKOS®DDSRとは?】乾田直播×節水栽培の新技術が、いま注目されている理由

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こんにちは。
今日は、少し専門的だけれど、これからの日本の農業を支えるかもしれない「MYKOS®DDSR(マイコス・ディーディーエスアール)」という栽培技術についてご紹介したいと思います。
「乾田直播(かんでんちょくはん)」「節水型栽培」と聞くと、「ちょっと難しそう」と感じるかもしれません。でも、私たちの食卓に並ぶお米や農産物を、環境にもやさしく、そして持続可能な方法で作っていくために、とっても大切なキーワードなんです。

乾田直播ってなに?

通常、お米を作る田んぼは、春に水を張ってから苗を植える「移植栽培」が主流です。でも乾田直播では、田んぼに水を入れる前に種もみを直接まくんです。
つまり、田んぼがまだ乾いた状態のときに種まきをするという方法で、「乾田(かんでん)=乾いた田んぼ」「直播(ちょくはん)=直接まく」という名前のとおりの技術です。
この方法のメリットは、大きく3つ。

  • 苗の育苗作業が不要になるので、労力とコストを削減できる
  • 機械での作業がメインになり、作業の省力化ができる
  • 水の使用量を抑えられることで、環境にもやさしい

ただし、乾いた土にまいた種は、雑草と競争することになります。そのため、雑草の管理がとても重要になるのも、この栽培方法の特徴です。

MYKOS®DDSRとは?

ここで登場するのが「MYKOS®DDSR」という技術です。これは、乾田直播栽培に適した新しい農法のこと。
MYKOS®は、三井化学クロップ&ライフソリューションが開発している栽培技術のブランドで、「微生物の力で根を強く、作物を健やかに育てる」という考え方に基づいています。DDSRは「Dry Direct Seeding Rice(乾田直播水稲)」の略です。
つまりMYKOS®DDSRは、

  • 微生物資材MYKOS®を使いながら
  • 乾田直播による水稲栽培を行い
  • さらに節水型の水管理を組み合わせる、という技術。

これが組み合わさることで、より少ない水・少ない手間で、健やかにお米を育てることができるんです。

なぜ今、注目されているの?

この技術がいま注目されている理由は、大きく3つあります。
1. 労働力不足への対応
農業の現場では、高齢化や人手不足がますます深刻になっています。そんな中、苗を育てて植える手間を省ける乾田直播は、大きな省力化につながります。
また、機械化が進みやすいのもこの方法の強み。トラクターや直播機を使えば、広い面積を少人数で管理できるので、家族経営や高齢の農家さんにも心強い味方になります。
2. 水資源の保全
日本でも21年頃から各地で水不足が問題になっています。2030年までに世界で水不足に陥る人口は30%になるとも予測もされています。これまでのように水を豊富に使う栽培スタイルを続けていくのは、今後難しくなるかもしれません。
そんな中で、水を使わない期間が長くなるMYKOS®DDSRは、水資源を守るという意味でも、とても大きな価値があります。
3. 環境負荷の低減
MYKOS®DDSRでは、微生物の力で根を活性化し、肥料の効率的な吸収を促すことができます。つまり、化学肥料の使用量を減らしても、しっかり育つというメリットがあるんです。
さらに、水をたくさん張る必要がないので、メタンガスなどの温室効果ガスの発生も抑えられると期待されています。

そして最近では、小泉進次郎農林水産大臣が節水型乾田直播を実践している埼玉県の大規模農業法人「ヤマザキライス」のお山崎代表、朝日バイオサイクルの千林社長のお二人と水を張らない乾田直播についての取り組みについて意見交換を行ったという報道でもあったように、乾田直播は確実に現代農業の新たなステージとして注目を浴びています。

実際の現場ではどう活用されているの?

実際にこの技術は、実証試験や農家さんの現場で少しずつ導入が進んでいます。
たとえば、兵庫県や静岡県などでは、農業試験場やJAが主体となってMYKOS®DDSRの効果を検証する取り組みが進んでいます。結果として、安定的な収量を確保しつつ、節水効果や省力効果が実感できたという声も出てきています。
もちろん、まだまだ課題もある技術です。たとえば、

  • 雑草の管理が難しい
  • 土壌条件に左右されやすい
  • 雨が続くと発芽に影響が出やすい

といった点には、慎重な対応が必要です。でも、これらも地域に応じたノウハウや資材の工夫で、少しずつ乗り越えられるようになってきています。

これからの農業とMYKOS®DDSR

私たちが日々いただいている「お米」や「野菜」。それを作ってくださっている方々の努力は、本当に尊く、そして時代とともに進化しています。
MYKOS®DDSRは、「環境にやさしく、農家さんにもやさしい」そんな農業の未来をつくるための、ひとつの大きな可能性です。
これからも、もっとたくさんの農家さんにとって、選びやすく・使いやすい技術になっていくことを願っています。そして、私たちも少しだけその背景を知ることで、食卓の風景がまた違って見えてくるかもしれません。