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【地域の味を未来へ】飲食店の事業承継が注目される理由とリアルな事例紹介

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はじめに|今、飲食店の「事業承継」が注目されている理由

地方の飲食店が次々と閉店している現状をご存じでしょうか?
しかもその多くは、経営不振ではなく「後継者がいない」という理由による“黒字廃業”が増えています。
特に個人経営の多い飲食業界では、家族経営や一人オーナーの店舗が多く、「店を継ぎたい」という人がいないことで、長年愛されてきた店が静かに暖簾を下ろしています。
このままでは、地域の味や人々の集う場所が次々と失われかねません。
だからこそ今、「事業承継」という選択肢に注目が集まっているのです。


事業承継の壁|飲食店ならではの課題と社会的な背景

1. 飲食店に根付く“属人性”がハードルに

飲食店の多くは、「あの店主の味」や「あの接客」が魅力となっている、“店主の存在が大きい”ビジネスです。
レシピや調理方法が言語化されておらず、スタッフに共有されていないケースも少なくありません。
また、長時間労働や人手不足といった、業界全体に共通する厳しい労働環境もあり、
「継いでみたいが、やっていけるか不安」と感じる人が多いのも現実です。

2. 社会全体が直面する“2025年の大廃業時代”

2025年までに127万社が後継者不在で廃業の危機にあるとされており、これは国内企業のおよそ3分の1に相当します。
当然ながら、地方経済にも大きな影響を及ぼすと見られています。
こうしたなか、地域経済の持続可能性を守るためにも、「飲食店の事業承継」は重要なキーワードです。
移住促進や地域活性化など、地方創生の取り組みとも深く結びついています。


事例紹介|長野県で挑戦が進む、飲食店の承継ストーリー

小諸市「居酒屋 もんじゃ焼き 竹りん」

自己紹介でも触れた通り、私たち唐沢農機サービスは、事業承継をきっかけに飲食事業をスタートしました。
そのひとつが、小諸市にある「居酒屋 もんじゃ焼き 竹りん」です。
創業オーナーの高齢化により継続が難しくなった同店を、私たちが引き継ぎ、2023年11月にリニューアルオープン。
20年以上にわたり地元で親しまれてきた味や雰囲気を大切に守りながら、スタッフ体制や運営環境を整備し、
地域に愛されてきた「居酒屋 もんじゃ焼き 竹りん」の魅力をそのままに、次世代へとつないでいます。

上田市「大衆酒場食堂 Nakamura

上田市の「大衆酒場食堂 Nakamura」は、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化し、2024年12月に惜しまれつつ閉店しました。
しかし、地域に親しまれていた大衆居酒屋がなくなることは、地元経済やコミュニティにとって大きな損失と考え、
唐沢農機サービスが事業を引き継ぐかたちで、2025年2月にリニューアルオープンしました。
現在は、上田のご当地グルメ「美味だれ焼き鳥」を提供しながら、元オーナーが大切にしていた味や想いを丁寧に受け継いでいます!


変わらないのは、“地域への想い”

どちらの店舗も、「昔から愛されてきたこの場所を、これからも残していきたい」という想いから事業承継に踏み切りました。
味や調理方法、店の雰囲気は大きく変えず、できるだけ“そのまま”を未来へつないでいます。
事業承継は、終わりではなく、新たな店づくりのスタート。
「地域に長く愛される店をつくりたい」――その思いを胸に、これからの運営にも力を注いでいきます。


事業承継=“店”を残すだけじゃない

飲食店の事業承継と聞くと、「看板やレシピを引き継ぐこと」と思われがちです。
しかし実際には、それだけではありません。
お客様との関係やスタッフの思い、お店に流れる空気や記憶――
それらすべてを引き継ぐことこそが、事業承継の本質です。
さらに、承継後に働く環境を整え直すことで、より持続可能な店舗へと進化させていくことも可能です。
飲食店は、地域の日常や文化そのもの。だからこそ、承継には「価値を未来につなぐ」という意味があります。


まとめ|“地域の飲食店を未来へつなぐ”という選択

これからの飲食業界では、創業だけでなく「承継」という選択肢にももっと注目が集まるべきです。
特に地方では、飲食店が担っている役割は大きく、その存在が地域のにぎわいや誇りの一部となっています。
事業承継は、単なる事業活動ではなく、地域の未来を守るための行動でもあります。
今ある大切なお店を、次の世代へ。
そんな“つなぐ力”が、これからの地域にこそ求められています!

最後までご覧いただきありがとうございました!