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農機・資材の価格が高騰中…2025年の農業経営どうする?

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皆さんこんにちは!
今回の記事では、農業を営むうえで避けては通れない「農機・資材の価格高騰」について、最新の動向とその対策を分かりやすく解説します。今後の農業経営を持続させるために、何を見直し、どのような選択肢があるのか、具体的な事例や制度も交えて紹介していきます!

1. はじめに:高騰が止まらない農業コスト

2025年現在、農業経営にとって避けて通れない課題のひとつが「コストの高騰」です。農機や資材の価格が年々上昇しており、これまでのやり方では経営が厳しくなるケースも増えています。
背景には、円安の長期化世界的な物価上昇、そして燃料価格の高騰という“トリプルパンチ”があり、農業に必要な機械や肥料・資材などのコストに大きな影響を与えています。
特に農機は、国内メーカー(クボタ、ヤンマー、井関農機など)が主流であり、多くが国内生産されていますが、一部の部品や原材料は海外に依存しています。そのため、為替レートの変動によって製造コストが上がり、最終的には販売価格の上昇にもつながっているのが現状です。
また、物流の混乱や人件費の上昇といった外的要因も、農業に必要な物資のコストに大きく影響しています。こうした厳しい状況下では、「我慢してやり続ける」だけでは限界があります。賢く設備を選び、制度を活用し、効率的な経営に切り替えることが求められています。


2. 何が高くなっている?主要資材の値上がり状況

「農業コストが上がっている」と一口に言っても、実際にどの資材や機械がどれほど値上がりしているのか、具体的に把握しておくことが重要です。この章では、特に影響が大きいとされる農機や資材の価格動向について解説します。

● 農機(トラクター、コンバインなど)の価格推移

2020年頃から始まった円安傾向と世界的な物価上昇を背景に、農機の価格もじわじわと上昇しています。
たとえば、
・中型トラクター(50〜70馬力)やコンバイン、田植機といった主要農機は、2020年頃と比べて価格が10〜20%上昇した事例も見られます

特に原材料費や輸送費の増加を背景に、新機種では数十万円単位の値上げが行われており、農機更新のハードルが高くなっているのが実情です。
また、部品供給の遅れや電子制御系のコスト高も、価格上昇の要因となっています。


● 肥料、ビニール資材、燃料などの実例

機械だけでなく、日々の農作業に欠かせない資材も軒並み値上がりしています。

資材値上がり率主な原因
化学肥料約1.5〜2倍原料価格と為替の影響が大きい
ビニール類(マルチ・ハウス用)約20〜30%増原油価格上昇+輸送費増加が原因
軽油・ガソリン約20%増燃料高により作業コストも増加

中でも肥料は、価格変動が特に激しく、農家の経営を直撃しています。原料価格の高騰や流通コストの上昇、為替変動など、複数の要因が複雑に絡み合っているのが特徴です。

参考:
・農林水産省「令和5年秋肥価格調査結果」        https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/fertilizer_price.html
・資源エネルギー庁「石油製品価格調査」                  https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/ 


3. なぜ高騰しているのか?背景を簡単に解説

農業資材や農機価格が高騰している理由には、いくつかの構造的な背景があります。

①円安の継続

1ドル=150円前後の円安が長期化しており、輸入品の価格に大きな影響を与えています。肥料や農薬、農機部品の多くは海外製であるため、為替変動によってコストが跳ね上がっています。

②輸入依存と供給網の不安定化

日本の農業は、肥料やビニール資材など多くを海外に依存しています。

  • ウクライナ情勢や中国の輸出規制
  • 海上輸送や港湾インフラの混乱
  • 特定地域への供給集中

これにより「品薄→価格高騰」の悪循環が生じています。

物流・人件費コストの上昇

  • コンテナ不足による海運費高騰
  • 原油高による輸送費の増加
  • トラックドライバー不足と労働時間規制による人件費上昇(いわゆる2024年問題)

これらの要因が重なり、輸送コストが資材価格に転嫁される構造になっています。


4. 農業経営を守る3つのコスト対策

価格高騰の時代においては、農家が自ら“戦略的な選択”を行うことが求められます。以下に、すぐに実践できる3つの具体策を紹介します。

① 中古・リース農機の活用と定期点検

  • 中古農機は新品の30〜70%の価格で導入可能
  • 使用頻度が低い機械はリースで短期利用
  • 保守点検を習慣化することでトラブルを未然に防止し、長寿命化と燃費向上を実現
https://sodateru-karasawanouki.jp/wp/%e8%be%b2%e6%a9%9f%e3%81%ae%e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%96%e3%83%ab%e3%82%92%e6%9c%aa%e7%84%b6%e3%81%ab%e9%98%b2%e3%81%90%ef%bc%81%e6%95%b4%e5%82%99%e5%a3%ab%e3%81%8c%e6%95%99%e3%81%88%e3%82%8b%e3%83%a1/

② 資材の共同購入・地域調達

  • 近隣農家や法人とグループ購入で単価削減
  • JAや市町村の共同購入制度の活用
  • 地元調達により輸送費の削減

「誰と組むか、いつ買うか」がコスト削減のカギになります。

③ 補助金・スマート農業技術の活用

  • 農機や資材導入に対する補助金制度の利用
  • GPSやセンサー等を活用したスマート農業で資材のムダを削減
  • 効率化による省人化、省資材化が可能

各制度の申請には期限や条件があるため、自治体やJAの情報を定期的にチェックしましょう。

https://sodateru-karasawanouki.jp/wp/%e3%80%902025%e5%b9%b4%e6%9c%80%e6%96%b0%e3%80%91%e8%be%b2%e6%a9%9f%e8%b3%bc%e5%85%a5%e3%81%ab%e6%b4%bb%e7%94%a8%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%82%8b%e8%a3%9c%e5%8a%a9%e9%87%913%e9%81%b8%ef%bc%81/
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5. 実例で見る!高騰時代を乗り切る農家の工夫

茨城県:AIとスマート農業で作業効率を向上

茨城県では、県北地域などでスマート農業の導入が進められています。直進アシスト付き田植機やロボット草刈機、アシストスーツなどが活用されており、作業時間や体力負担の軽減、資材の最適利用によるコスト削減が実現されています。
また、AIによる生育診断や環境モニタリング技術の導入により、作業効率が向上。肥料の過剰投入も抑制され、環境負荷の軽減にもつながっています。

出典:茨城県「スマート農業の実証事例集」https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/hokunourin/kikaku/kikaku/smartnougyo2021.html


6. まとめ|価格高騰時代の農業経営に必要な視点とは?

農業経営は今、かつてないほどの“選択の時代”を迎えています。資材や農機を「ただ我慢して買う」のではなく、賢く“買わない”“替える”“協力する”という視点が求められます。

  • 買わない:リースや中古農機、シェアリングの活用
  • 替える:高コスト作物から省資材型作物への転換
  • 協力する:地域連携による共同購入や機械共有

そして、補助金制度や支援策の活用が、経営の安定化を支える重要な柱になります。
時代に合わせて柔軟に変化する姿勢こそが、持続可能な農業経営を実現する鍵になります!
価格高騰の波を逆手に取り、自分たちの農業スタイルを見直すチャンスと捉えて、前向きな一歩を踏み出しましょう!!